「騙された」と感じないために、リースバックのトラブル回避法

リースバックは、自宅を売却しながらも住み続けられる画期的な仕組みとして注目を集めています。しかし、その魅力的な特徴の裏には、慎重に検討すべき側面も存在します。

近年、リースバックに関連するトラブルや「騙された」という声が増えており、その実態と対策について詳しく見ていく必要があります。本記事では、リースバックにまつわる問題点を深掘りし、トラブルを回避するための具体的な方策を探ります。

リースバックで「騙された」と感じる主な要因

リースバックを利用した後、「騙された」と感じる人が少なくありません。その背景には、契約内容の理解不足や悪質な業者の存在など、複数の要因が絡み合っています。リースバックで騙されたと感じる主な原因は、契約時の説明不足と期待値とのギャップにあります。

以下に、「騙された」と感じる主な要因を詳しく見ていきましょう。

売却価格の不透明性

多くの利用者が「騙された」と感じる最大の理由は、売却価格の低さです。リースバックでは、一般的な不動産売却と比べて20〜30%程度低い価格で取引されることが多いのですが、この事実を十分に理解せずに契約してしまうケースが少なくありません。

例えば、東京都内のマンションをリースバックで売却した60代の男性は、後になって近隣の同様の物件が自身の売却価格よりも3,000万円も高く取引されていたことを知り、大きなショックを受けたといいます。

不動産投資アドバイザー

リースバックの売却価格が低めなのは、買主側のリスクを考慮してのこと。ただし、あまりにも安すぎる場合は要注意です!

家賃設定の予想外の高さ

リースバック後の家賃が予想以上に高額だったというケースも多く報告されています。リースバックでは、一般的な賃貸物件よりも高めの家賃設定になることが多いのですが、この点を事前に十分理解していないと、「騙された」という感覚につながりやすいのです。

実際に、大阪府在住の50代夫婦は、リースバック後の家賃が周辺相場よりも30%も高く設定されていたことに驚き、長期的な生活設計の見直しを迫られました。

買戻し条件の誤解

将来的な買戻しの可能性を期待してリースバックを選択する人も多いのですが、実際には買戻しが困難だったり、条件が厳しかったりするケースがあります。

名古屋市の70代女性は、「いつでも買戻しできる」と説明を受けたにもかかわらず、実際の契約書には買戻し条項が含まれておらず、大きな失望を味わったといいます。

期待 現実 対策
いつでも買戻し可能 期限付きや条件付きの場合が多い 契約書の買戻し条項を詳細に確認
売却時と同額で買戻し 市場価格や経年変化を反映 将来の買戻し価格の算出方法を確認
無条件で買戻し可能 家賃滞納等で権利喪失の可能性 買戻し権利の維持条件を把握
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リースバックにまつわる主なトラブル事例

リースバックに関連するトラブルは、単に「騙された」と感じるだけでなく、具体的な問題として顕在化することがあります。これらのトラブルを事前に把握し、対策を講じることが重要です。リースバックのトラブルの多くは、契約内容の理解不足や将来的なリスクの見落としに起因しています。

以下に、リースバックで発生しやすい主なトラブル事例を詳しく見ていきましょう。

契約更新時の家賃高騰

リースバック契約の更新時に、予想外の家賃高騰に直面するケースが報告されています。初回の契約時には適正と思われた家賃が、数年後の更新時に大幅に引き上げられ、生活設計に大きな影響を与えることがあります。

福岡県の65歳の元会社員Aさんは、5年間のリースバック契約更新時に、当初の家賃から20%もの値上げを提示され、退去を検討せざるを得ない状況に追い込まれました。

  • 初回契約時の家賃:15万円/月
  • 更新時の提示家賃:18万円/月
  • 周辺相場:14万円/月

このような事態を避けるためには、契約時に将来の家賃改定ルールを明確にしておくことが重要です。

突然の退去要求

リースバック契約中に、予期せぬ退去要求を受けるケースも発生しています。特に、リースバック会社が物件を第三者に転売した場合に、新しい所有者から退去を求められるというトラブルが報告されています。

埼玉県在住の70代夫婦は、リースバック開始から3年後に突然、新しい所有者から退去を要求され、長年住み慣れた家を離れざるを得ない状況に陥りました。

不動産投資アドバイザー

リースバック契約時には、物件の転売に関する条項をしっかりチェック。居住権の保護について明記されているか確認しましょう。

修繕費負担をめぐるトラブル

リースバック後の物件修繕費の負担について、契約時の説明と実際の対応が異なり、トラブルになるケースがあります。一般的な賃貸契約では大規模修繕は所有者負担が原則ですが、リースバックでは元所有者(現入居者)に負担を求められることがあります。

神奈川県のマンションでリースバックを利用した50代女性は、エアコンの故障時に修理費用の全額負担を求められ、契約時の説明との相違に困惑したといいます。

  • 水回りの修繕
  • 外壁・屋根の補修
  • 設備の更新

これらの修繕項目について、契約時に負担区分を明確にしておくことが重要です。

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リースバックのトラブルを回避するための対策

リースバックに関連するトラブルや「騙された」と感じる事態を避けるためには、事前の十分な準備と慎重な契約内容の確認が不可欠です。以下に、トラブルを回避するための具体的な対策をまとめました。

これらの対策を実践することで、リースバックを安全に利用し、そのメリットを最大限に活用することができます。

複数社からの見積もり取得と比較

リースバック契約を結ぶ前に、最低でも3社以上のリースバック会社から見積もりを取得し、条件を比較することが重要です。これにより、市場の相場感を把握し、不当に低い売却価格や高い家賃設定を避けることができます。

見積もり比較の際は、以下の点に特に注目しましょう。

STEP
1

売却価格の確認

STEP
2

家賃設定の比較

STEP
3

契約期間と更新条件の確認

これらの項目を総合的に評価し、自分の状況に最も適した選択をすることが、トラブルを回避する第一歩となります。

専門家への相談と契約内容の精査

リースバックは不動産取引と金融取引の側面を併せ持つ複雑な契約です。そのため、以下の専門家への相談が有効です。

1.弁護士

契約書の内容確認や、法的リスクの評価を依頼します。特に、買戻し条項や契約更新条件などの重要事項をチェックしてもらいましょう。

2.税理士

リースバックに伴う税金問題について相談します。特に、譲渡所得税や固定資産税の取り扱いについて、専門的なアドバイスを受けることが重要です。

3.ファイナンシャルプランナー

リースバックが長期的な資産計画にどのような影響を与えるか、総合的な観点から助言を受けます。特に、将来の家賃支払いや買戻しの可能性を考慮した資金計画の立案が重要です。
不動産投資アドバイザー

専門家への相談費用は決して無駄ではありません。将来の大きなトラブルを防ぐ投資だと考えましょう。

契約内容の綿密な確認と交渉

リースバック契約を結ぶ際は、以下の点について特に注意深く確認し、必要に応じて交渉することが重要です。

確認項目 ポイント 交渉のヒント
契約期間 長期の居住を希望する場合は、できるだけ長い契約期間を設定 10年以上の長期契約を提案する
家賃設定 将来の収入減少も考慮し、無理のない金額に 年金収入などを基に、長期的な支払い能力を説明
修繕費負担 大規模修繕の負担区分を明確に 一般的な賃貸借と同様の条件を求める

これらの項目について、十分な確認と交渉を行うことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。

買戻しオプションの確保

将来的な買戻しの可能性を考慮し、以下の点に注意しましょう。

  • 買戻し価格の明確な設定
  • 買戻し期間の十分な確保
  • 買戻し条件の詳細な記載

これらの条件を契約書に明記することで、将来の選択肢を確保できます。

信頼性の高い不動産会社の選択

リースバック契約を結ぶ不動産会社の選択は非常に重要です。以下の点を確認しましょう。

1.企業の安定性

財務状況や業界での評判を調査し、長期的な信頼性を確認します。

2.実績とノウハウ

リースバック取引の実績や、顧客満足度の高さを確認します。

3.アフターフォロー体制

契約後のサポート体制が整っているかを確認します。
不動産投資アドバイザー

信頼できる会社を選ぶことで、多くのリスクを軽減できます。時間をかけて慎重に選びましょう。

これらの対策を講じることで、リースバックに関連するトラブルや「騙された」と感じる事態を大幅に減らすことができます。リースバックは適切に活用すれば有効な資金調達手段となりますが、その決断には十分な情報収集と慎重な検討が不可欠です。

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よくある質問

質問1:リースバックで騙されたと感じた場合、どのような対処法がありますか?
回答:まず、契約書を再確認し、説明と異なる点があれば不動産会社に説明を求めましょう。解決しない場合は、弁護士や消費者センターに相談することをおすすめします。また、国土交通省の「不動産取引被害相談所」も利用できます。
質問2:リースバックのトラブルで最も多いのはどのようなケースですか?
回答:最も多いトラブルは、売却価格が予想よりも低かったケースです。次いで、契約更新時の家賃高騰、修繕費負担の問題が挙げられます。これらは事前の十分な説明と理解が不足していることが原因となっています。
質問3:リースバック契約時に特に注意すべき点は何ですか?
回答:特に注意すべき点は、売却価格の妥当性、将来の家賃改定ルール、契約期間と更新条件、修繕費の負担区分、買戻し条項の有無とその条件です。これらの点について、契約書に明確に記載されているか確認し、不明点は必ず質問しましょう。
質問4:リースバック会社が倒産した場合、どうなりますか?
回答:リースバック会社が倒産した場合、物件の所有権が第三者に移る可能性があります。新しい所有者との間で賃貸借契約が継続されるのが一般的ですが、条件が変更される可能性もあります。このリスクを軽減するため、大手で信頼性の高い会社を選ぶことが重要です。
質問5:リースバックのトラブルを避けるために、事前にできることは何ですか?
回答:トラブルを避けるためには、複数の会社から見積もりを取得して比較すること、契約内容を専門家(弁護士やファイナンシャルプランナー)に確認してもらうこと、契約書の細部まで理解すること、信頼性の高い会社を選ぶことが重要です。また、将来の生活設計を考慮し、長期的な視点で判断することも大切です。