リースバックは、自宅を売却しながらも住み続けられる画期的な仕組みとして注目を集めています。しかし、全ての物件や条件でリースバックが利用できるわけではありません。
実際に、リースバックを希望しても断られるケースが少なくありません。本記事では、リースバックができない物件や条件、断られた事例について詳しく解説します。これらの情報を知ることで、リースバック利用の可能性を事前に判断し、適切な対策を講じることができるでしょう。
リースバックができない物件の特徴と対応策
リースバック会社は、将来的な再販売を見据えて物件を購入します。そのため、一定の条件を満たさない物件はリースバックの対象外となることがあります。リースバックができない物件の多くは、将来的な資産価値や流動性に問題がある場合です。
以下に、リースバックができない代表的な物件の特徴と、その対応策を詳しく見ていきましょう。
流動性が著しく低い物件
不動産市場において需要が期待できない物件は、リースバックの利用が難しくなります。具体的には以下のような特徴を持つ物件が該当します。
- 極端にアクセスが悪い立地
- 築年数が非常に古い
- 坪単価が5万円以下の地域
例えば、山奥の一軒家や、最寄り駅から徒歩1時間以上かかる物件などは、将来的な売却が困難と判断され、リースバックの対象外となる可能性が高いです。
対応策としては、物件の価値を高めるリノベーションを検討するか、一般的な不動産売却を視野に入れることが挙げられます。
流動性の低い物件でも、複数の会社に相談してみる価値はあります。各社で判断基準が異なる場合があるからです。
法的制限のある物件
法的な制限がある物件も、リースバックの対象外となりやすいです。主な例として以下が挙げられます。
1.市街化調整区域内の物件
2.既存不適格建築物
これらの物件の場合、一般的な不動産売却を検討するか、行政に相談して建築制限の緩和や用途変更の可能性を探ることが対応策となります。
リースバックができない条件とその理由
物件の特性だけでなく、所有者側の条件によってもリースバックができないケースがあります。リースバックができない条件の多くは、金銭的な問題や契約上の制約に関連しています。
以下に、リースバックができない主な条件とその理由、対応策を詳しく解説します。
オーバーローンの状態
住宅ローンの残債が物件の売却価格を上回っている状態(オーバーローン)では、リースバックを利用できません。これは、リースバックの前提条件として「物件の売却価格で住宅ローンを完済できること」があるためです。
例えば、以下のような状況ではリースバックが困難です。
項目 | 金額 |
---|---|
物件の売却価格 | 2,000万円 |
住宅ローン残債 | 2,500万円 |
この場合の対応策としては、以下のようなものが考えられます。
- 不足分を自己資金で補填する
- 任意売却を検討する
- 債務整理を行う
オーバーローンの場合、まずは金融機関と相談してみましょう。条件変更や一部債務免除に応じてくれる可能性もあります。
保証会社の審査が通らない
リースバック後は賃貸契約となるため、通常の賃貸と同様に保証会社の審査があります。この審査に通らないと、リースバックを利用できません。審査に通らない主な理由には以下のようなものがあります。
- 過去の金融事故歴
- 安定した収入がない
- 年齢制限(高齢者の場合)
例えば、70代の年金生活者で、年金以外の収入がない場合、保証会社の審査に通らないケースがあります。
対応策としては、以下のようなものが考えられます。
リースバックを断られた事例と対処法
実際にリースバックを申し込んだものの断られたケースも少なくありません。ここでは、具体的な事例とその対処法を紹介します。これらの事例を参考にすることで、自身の状況を客観的に分析し、適切な対策を講じることができるでしょう。
売却価格と希望額の乖離
リースバック会社が提示する買取価格が、所有者の希望額を大きく下回るケースがあります。例えば、以下のような事例が報告されています。
項目 | 金額 |
---|---|
所有者の希望売却価格 | 3,000万円 |
リースバック会社の提示価格 | 2,200万円 |
この場合、800万円もの差額があるため、所有者側が納得できずリースバックを断念するケースがあります。
対処法としては、以下のようなアプローチが考えられます。
1.複数社から見積もりを取る
2.物件価値を高める工夫をする
3.条件交渉を行う
リースバックの買取価格は一般的な売却よりも低めになりがちです。長期的なメリットを考慮して判断しましょう。
物件の瑕疵による断り
物件に重大な瑕疵や問題がある場合、リースバック会社から断られるケースがあります。具体的には以下のような事例が報告されています。
- 耐震基準を満たしていない古い建物
- 雨漏りやシロアリ被害が深刻な物件
- 事故物件(自殺や殺人などが起きた物件)
例えば、築50年の木造住宅で、耐震診断の結果、現行の耐震基準を満たしていないことが判明した場合、リースバック会社から「このままでは買取できない」と断られるケースがあります。
このような場合の対処法としては、以下のようなアプローチが考えられます。
1.必要な修繕や改修を行う
2.買取価格の引き下げを受け入れる
3.一般売却や解体を検討する
これらの事例や対処法を参考にしながら、自身の状況に最適な選択肢を見つけることが重要です。リースバックができない場合でも、他の選択肢を柔軟に検討することで、最終的には満足のいく解決策を見出せる可能性があります。